戦場では悪魔の様だったと、人に聞く。
でも自分の記憶の中のあの人は、
いつだって優しく微笑んでくれていた。

時に兄のように、
時に父のように、
そして時に、恋人のように。
甘く柔らかなその感情は、
恋に恋する幼い私に、
こっそりと”練習”させてくれていただけだったけれども。

あの細い綺麗な指が、
どれだけの人を殺めたのか私は知らない。
でも今ひとつだけ言えるのは、
私にとってその事実よりも、あの人がいない現実の方が痛いこと。



「恋する者は全て罪人さ。」



そう言って微笑んだあの人の言葉の意味は、
今ならば。








* * * * *

そして少女は大人になる。



お題提供:【約30の嘘】 様

プラトニック